不動産登記の委任状の種類と記載する日付について

不動産登記

「委任状の日付は空けておいてください」
って1日1回くらい言ってる気がします。

最初、どうして日付はあけておくんだろう?
どうしてわざわざ日付を捨印訂正してるんだろう?

と、よく分からないけど、言われるがままに日付は登記申請日にしていました。

なんでだろう。

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委任状には2パターンある

登記申請で使う委任状には2パターンあります。

①登記原因証明情報を援用する委任状
②援用しない委任状

それぞれのひな型

①援用型委任状

委任状

        住所
        氏名

私は、上記の者を代理人と定め、次の権限を委任します。

1.令和  年  月  日付け 登記原因証明情報記載のとおり、所有権移転登記申請に関する一切の件

(略)

②援用しない委任状

委任状

私は、  を代理人と定め、次の登記申請に関する一切の権限を委任します。

1.不動産の表示 後記のとおり
1.登記の目的  所有権移転登記
1.原   因  令和  年  月  日相続
1.相 続 人  (被相続人 しいたけ)
         (住所)
         しめじ

(略)

なぜ2パターンあるのか

①援用型委任状はその名のとおり、登記原因証明情報を援用します。
「詳しいことは登記原因証明情報にかいてるからそっち見てね」ってことです。
こちらの方が、作成する側としては簡単です。

じゃあ何で②援用しない委任状があるか。
援用しないのではなく、援用できないのです。

登記原因証明情報によっては援用できない場合がある

例えば、相続登記。
相続登記の登記原因証明情報は主に戸籍になります。
戸籍を登記原因証明情報として援用すると、、
戸籍には「不動産」や「登記原因」などの記載がないので、
「詳しくは登記原因証明情報見てね」という委任状を添付すると

⇒登記原因証明情報(戸籍)見る
不動産等の記載がなく、何に関して委任しているか明確ではなく、委任状として成立しない

となるのです。

これは、名変も同じです。
名変の登記原因証明情報は住民票や戸籍の附票等なので、
そこに不動産の表示等記載されておらず、
援用型の委任状は不可となります。

援用型委任状は日付に注意

日付に注意が必要なのは、「援用型の委任状」です。
なぜなら、時系列的にこんな矛盾が出てきてしまいます。

令和3年10月20日時点で令和3年10月29日の登記原因証明情報は存在しません。
存在しないものに対して事前に委任するというのは考えられないでしょ。
ということらしいです。

視覚的には委任状をぱっとみたときに、

とうことです。

まとめ

別に理由を知らなくてもいいじゃん。
って思いますが、
たまーにお客さんから聞かれます。
「何で日付かかないの??」と。

そのときに、司法書士としてきちんと説明したいですよね。
という思いから。

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