今回は、実例でご紹介します。
ご相談内容
- 買主(九州)、売主(関西)にすんでいる
- 事務所から離れたところにお住まいの売主ごぼうさん
- 役所が代位で所有権移転登記を入れていたので、権利証が発行されていない
- 決済までにかなりスケジュール的な余裕がある
- 他の事務所で「本人確認情報作成一択」と案内され数万円の見積もりを出された
- 何か他に方法ないですか?買主業者さんからご相談
解決方法
今回は、公証役場での本人確認をおすすめしました。
その判断理由は、、
・融資が絡んで失敗できない決済で事前通知は正直リスクが高い
(通知を受け取った義務者が2週間以内に返事をしないと決済が流れてしまう)
・本人確認情報作成は確実だがお客さんにとって金銭的な負担が大きい
・決済までにスケジュール的な余裕があり、売主さんが自分で公証役場に行けそう
・お客さんにとって金銭的なメリットが大きい
そして、すべての手段をきちんと説明したうえで公証役場に行くと結論を出しました。
権利証(登記識別情報通知) を紛失している場合の選択肢
権利証(登記識別情報通知)を紛失している場合の手段は??
と聞かれたら、受験生時代の知識で3つの方法がぱっと浮かぶと思います。
①司法書士が本人確認情報を作成する
②事前通知
③公証役場で本人確認
①の本人確認情報の作成はどこの事務所でもよくやってるし、
ネット上にも情報があふれています。
②の事前通知は特にこちらですることはないので、
受験生時代の知識を活かして
流れをお客さんに説明をすればいいです。
問題は、③の公証役場での本人確認です。
「え?公証役場で本人確認て何したらいいん?」
とネットで検索するけど、
実務上の流れを細かく記載している記事がなかなかみつからず
手探りで段取りしていきました。
なので、今回はこの「公証役場で本人確認」の実務の流れについてご紹介します。
結論 公証役場の本人確認は意外と手間がかかるし気を使う
やることをざっくり言うと、
①公証役場とお客さんに日程調整
②委任状を作成して売主ごぼうに郵送する
③ごぼうがちゃんと公証役場に行ったか確認して委任状などを返送してもらう
簡単そうに見えますが、
私が何度かやった印象としては、
意外と手間がかかったし、結構気使うなーということです。
ではどんな場面で利用したいか?メリットデメリット、
実際どんな流れで段取りするか?等詳しく書いていきます。
公証役場の本人確認=私文書の認証とは?
認証とは、文書の作成者の署名又は記名押印のある私文書(私署証書)について、この文書になされた署名又は押印が文書の作成名義人によって行われたことを、公証人が証明する制度です。
京都公証役場HP
公証人の認証によって、文書の署名又は押印の真正が証明され、それを通じて文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。
今回だと、ごぼう⇒司法書士への委任状にごぼうが記名押印をして、
その委任状の記名押印は間違いなくごぼう本人が行ったということを公証人が認証します。
こんな場面で使用したい
・司法書士と売主との距離が離れている
・決済まで時間のゆとりがある(目安15日くらいはほしい)
・売主が平日に公証役場に行ける
・本人確認情報作成の費用負担が厳しい
メリットとデメリット
何にでもメリットデメリットはあります。
メリット | デメリット |
・費用が安い(1件:3500円) ※司法書士の本人確認だと3~5万が相場 | ・売主が平日自分で公証役場に行く必要がある ・約束を守れない人だとハラハラする |
実務での動き
実務での流れです。
公証役場との段取り
- ごぼうにどこの公証役場がいいか?と公証役場に行ける日程を聞く
※公証役場はどこでもOKです
※最低でも決済の5日前には設定しておきたいです。 - 公証役場に連絡して日程調整をする
※公証役場によっては予約不要いつでも来てください。と言われますが、ごぼうが行く日程を公証役場に伝えておいた方が、ごぼうもスムーズに対応してもらえるので親切です。 - 2と同時に必要書類を確認する
※だいたいこのときに委任状などを先にFAXしてくれと言われます。
※他に、免許証、印鑑証明書、登記情報と言われることが多いです - ごぼうに委任状や登記用書類を郵送する
- 公証役場で認証してもらう委任状は援用型のものは使用できません
- 捨印も不可です
- なので、委任状作成は相当慎重にする必要があります(ここが「結構気使うなー」と思ったところです)
- 署名捺印はせずに公証役場に持参してもらうよう、ごぼうに案内します
- 作成時点で売買日付が決まっていなかったら公証役場に一言伝えたうえで売買日付は空欄にしておきます
ちなみに、、
公証役場に電話して「本人確認お願いします」とか言っても「は?何それ?」みたいな感じで言われることがあります。
正式には「私文書の認証」だそうですので、依頼のときは「私文書の認証をお願いしたいのですが」と言ったほうがスムーズです。
登記申請
ごぼうから返送された委任状等を使用して登記申請書を作成していきます。
いつもと違うところは次の2つくらいです。
①申請書の添付書類記載欄:「本人確認情報」と記載する
②委任状:空欄になっていた売買日付に決済日を記入する
まとめ
日程調整と委任状を間違えない!
これさえできていれば大丈夫です!
一度やってみると、次からぐっとハードルは下がるので、
お客さんに色んな選択肢をきちんと説明したうえで
ベストな選択ができるよう日々知識補填に励みたいですね!
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